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育児・介護休業法等の改正(令和7年4月1日から段階的に施行)
近年改正が続く、育児・介護休業法等について、令和6年以降も引き続き改正が行われます。
今回は男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、
子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、
育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大、
次世代育成支援対策の推進・強化、
介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を目的とした改正法が成立しました。
改正の概要は以下の通りです。
■1.3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者への措置・個別周知・意向確認
■2.所定外労働(残業免除)の制限の対象拡大
■3.育児のためのテレワーク導入の努力義務化
■4.子の看護休暇の見直し
■5.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化
■6.育児休業取得状況の公表義務の対象企業拡大
■7.介護離職防止のためのの個別周知・意向確認、雇用環境整備措置の義務化
■8.次世代育成支援対策推進法の改正
ひとつずつ順に説明します。
3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者への措置・個別周知・意向確認
施行日:公布(令和6年5月31日)後1年6か月以内の政令で定める日
事業主は3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者が柔軟な働き方を実現するために、職場のニーズを把握した上で
・始業時刻等の変更
・テレワーク等(10日/月)
・保育施設の設置運営等
・新たな休暇の付与(10日/年)
・短時間勤務制度
のいずれか2以上を選択し、制度を設ける必要があります。
また、その制度について個別の周知・意向の確認も併せて事業主の義務とされており
労働者は事業主が講じた上記の制度のなかから一つを選択して利用をすることが出来ます。
所定外労働(残業免除)の制限の対象拡大
施行日:令和7年4月1日
一定の年齢の満たない子を養育する労働者が事業主に請求をすることにより所定外時間労働(残業)の免除を受けることが出来ます。
現在、3歳に満たない子を養育する労働者が対象とされていますが、法改正により「小学校就学前の子を養育する労働者」へ対象者が拡大されることとなります。
育児のためのテレワーク導入の努力義務化
施行日:令和7年4月1日
3歳に満たない子を養育する労働者がテレワーク(在宅勤務)を選択できるように措置を講ずることが、新たに事業主の努力義務とされます。
子の看護休暇の見直し
施行日:令和7年4月1日
「看護休暇」は子どもの怪我や病気の看病をするために、小学校就学前の子を養育する労働者の申し出により、1年度に5日まで取得が出来る制度です。
(子が2人以上の場合は1年度に10日まで)
今回の改正により、以下のように変更となります。
・名称が「子の看護等休暇」へ変更
・対象となる子の範囲が小学校3年生終了までに延長
・感染症に伴う学級閉鎖や入園式・入学式・卒園式に参加をする場合にも取得可能
・労使協定による勤続6カ月未満の労働者の除外が不可
※週の所定労働日数2日以下の労働者は引き続き除外可能です。
仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化
施行日:公布(令和6年5月31日)後1年6か月以内の政令で定める日
妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務づけられます。
(意向聴取の方法は今後、省令で公表される予定です)
具体的には自社の状況に応じて、勤務時間帯や勤務地、業務量の配慮、両立支援制度や労働条件の見直し等が示される予定です。
育児休業取得状況の公表義務の対象企業拡大
施行日:令和7年4月1日
育児休業等の取得状況の公表義務の対象が拡大されます。
現行 :従業員数 1000人超
改正後:従業員数 300人超
公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前年度における以下①②いずれかの割合です。
①育児休業等の取得割合
育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
②育児休業等と育児目的休暇の取得割合
(育児休業等をした男性労働者の数+
小学校就学前の子の育児のために休暇制度を利用した男性労働者の数)
÷配偶者が出産した男性労働者の数
公表はインターネット等を通して一般の方が閲覧できる方法で公表をする必要があります。
厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」では、様々な企業の公表情報を確認することが出来ます。
【厚生労働省 両立支援のひろば】
https://ryouritsu.mhlw.go.jp/
介護離職防止のためのの個別周知・意向確認、雇用環境整備措置の義務化
施行日:令和7年4月1日
介護離職防止に関する制度としては現行では以下が労働者の権利、事業主の措置義務として設けられています。
・介護休業
要介護状態にある対象家族について、働きながら対応できるようにするために一定期間休業するもの。
対象家族1人につき、通算93日、3回まで分割可能
・介護休暇
要介護状態にある対象家族の介護・世話(通院の付き添い、ケアマネージャーとの打ち合わせ等)をするための休暇。
介護終了まで年間5日(対象家族が2人以上の場合は10日)、
時間単位で取得可能。
・所定外労働の免除(残業免除)
・時間外労働(1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働)の制限
・深夜業(午後10時~午前5時までの就業)の制限
・事業主による選択的措置義務(時差出勤、短時間勤務・フレックス等)
今回の法改正では、加えて以下が事業主の義務となります。
①介護に直面した労働者へ個別の周知・意向確認
②介護に直面する前の労働者へ両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修・窓口の設置等)
③要介護状態の家族を介護する労働者へテレワーク(在宅勤務)の措置を講じることが努力義務化
④「介護休暇」の対象拡大(労使協定による勤続6か月未満の労働者の除外を廃止)
次世代育成支援対策推進法の改正
①法律の有効期限の延長
施行日:公布の日(令和6年5月31日)
令和7年3月31日までとなっていた法律の有効期限が、令和17年3月31日までに延長されました。
②育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務化
施行日:令和7年4月1日
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。
(従業員数100人以下の企業は、努力義務)
●計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握等
●育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定
育児休業取得状況は男性の育児休業等取得率、
労働時間の状況はフルタイム労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等となることが予定されています。
参照ページ
【育児・介護休業法が改正されました(厚生労働省)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
【男性労働者の育児休業取得率公表の対象企業拡大(厚生労働省)】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001029776.pdf
【介護休業制度(厚生労働省)】
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/index.html
改正に向けては社内制度の確認・整備、就業規則・労使協定の見直し、
管理者への事前周知や研修資料の作成等が必要になるかと思われます。
法改正に対応した就業規則の修正、労使協定の作成、
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