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管理監督者に該当する人とは
4月は新入社員の入社や部署変更、昇進などが多く行われる季節ですね。
年度が変わるタイミングで人事異動を行う事業所様も多いように思います。
その職場の「管理監督者」に就任する方もいるかもしれません。
今回はそんな「管理監督者」についてお話しします。
管理監督者とはどのような人を指すでしょうか。
■定義
労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、
労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けない者、
とされています。
管理監督者に該当するかどうかは、
役職名ではなくその職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断されます。
管理監督者に当たる場合のポイントは次の通りです。
■ポイント
①労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
②労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
③現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
④賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
管理監督者に当たる場合、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が適用されません。
そのため、法定労働時間を超えて働いたり、休日労働を行ったとしても割増賃金の支払いは不要となります。
ただし、深夜業を行った場合は深夜手当を支払う必要があります。
このように残業代等を支払わなくとも良い管理監督者ですが、
該当しない方をそのように扱い、残業代等を支払わなかったことでトラブルになるケースがあります。
管理監督者ではないと判断された例には以下のようなものがあります。
<例1>
・採用の一部を任されている。
・売上金の管理を任されている。
・メニューの一部を決める権限がある。
という立場の喫茶店やファミリーレストランの店長に対し、
・店舗の営業時間に拘束されている。
・欠勤早退外出の際は会社に連絡が必要。
・他の従業員と比較して立場に見合った待遇となっていない。
という実態により管理監督者性が否定。
<例2>
・工事現場の施工管理、進行管理を行っていた。
・取引先からの請求書の決裁権がある。
という工事現場の現場監督に対し、
・勤務時間が定められている。
・基本給のみで、諸手当が支給されていない。
という実態により管理監督者性が否定。
<例3>
・ホテルレストラン等の料理の企画や料理人の指揮、監督をしている。
・各料理人のシフト表を作成している。
・料理人の募集や採用業務に関与している。
・専務、宿泊責任者、料理長の3人による営業会議に参加していた。
という料理長に対し、
・自由に出退勤時間を決めることが実質的に困難であって自由裁量が認められない。
・自身もシフト表に基づき業務にあたっていた。
・採用や解雇の権限・実績はなく、社長判断によっていた。
・昇給や労務管理方針の決定に参画していた実績は無く、経営者と一体的立場にあったとは言えなかった。
という実態により管理監督者性が否定。
判例の傾向としては、勤務時間に自己の裁量がない、採用や労務管理に関わっているとは認められない、立場に見合った待遇がなされていないといったケースが多くみられます。
肩書を与えるだけで名ばかりの場合は残業代等の支払いは必要となります。
職務に応じた適正な賃金を支払うため、また、残業代の未払いを防ぐためにも、実態に沿って正しく取り扱うよう注意しましょう。
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