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労務通信

2025年版「年収の壁」について

2025年度の最低賃金について、すべての都道府県の地域別最低賃金の答申が出揃い、
全国加重平均額は昨年度の1,055円から66円高い1,121円となりました。
いわゆる「年収の壁」を気にしながら働かれている方にとっては、
働き方を見直すタイミングではないでしょうか。

今回の記事では2025年度の税制改正に基づき、社会保険料の負担発生を中心に、
「年収の壁」を簡単に整理・解説します。

扶養の範囲内で働きたいとなったときに、直面するのが「年収の壁」です。
収入が一定額を超えると家族の扶養から外れ保険料の支払いが発生するほか、
家族を扶養している側も扶養人数が減ることで控除額が減額されたり、
適用されなくなったりすることがあります。

この「一定額」が、いわゆる「年収の壁」と呼ばれるもので、
大きく分けて税金負担と、社会保険料発生の2種類があります。

企業にとっても、社会保険に加入する従業員が増えることで保険料の負担が増えたり、
反対に扶養内に収めるため従業員の労働時間が減少したりするなど、
税制改正による影響が大きいため、「年収の壁」について理解しておくことが求められます。

【年収の壁の種類】
■106万円の壁<社保>
被保険者数51人以上の企業に勤務する方が対象
・勤務先の社会保険に加入
・家族の社会保険の扶養から外れる
※年収130万円未満でも扶養から外れる

■110万円の壁<税金> →前年より変更
・住民税が課税される
※自治体により金額は前後する
※2025年の所得に基づき課税・納付する2026年度の住民税から適用

■123万円の壁<税金> →前年より変更
・配偶者に扶養されている場合、配偶者が配偶者控除を受けられなくなる
・(配偶者以外の)家族に扶養されている場合、その家族が扶養控除を受けられなくなる

■130万円の壁<社保>
(19歳以上23歳未満の方は150万円 →新制度)
・家族の社会保険の扶養から外れ、以下のいずれかに切り替わる
①勤務先の社会保険に加入
②国民健康保険に加入
さらに配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者)だった場合は、国民年金第1号被保険者に変更

■150万円の壁<税金> →新制度
・特定親族である場合、親等が特定親族特別控除を減額される

■160万円の壁<税金> →前年より変更
・所得税が課税される
・配偶者に扶養されている場合、配偶者が配偶者特別控除を減額される

■188万円の壁<税金> →新制度
・特定親族である場合、親等が特定親族特別控除を受けられなくなる

■201万円の壁<税金> →前年より変更
・配偶者に扶養されている場合、配偶者が配偶者特別控除を受けられなくなる

2025年度の税制改正では所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」の見直し、
「特定親族特別控除」や「扶養親族等の所得要件」の改正も行われました。
これらの改正は、2025年12月1日施行のため、年末調整での対応が必要です。

【最後に】
今回の税制改正では、19歳以上23歳未満の方を除いて社会保険にかかわる「年収の壁」の変更はありませんでしたが、短時間労働者の社会保険要件の見直しを含む法案が成立しているため、数年以内に「106万円の壁」は無くなる予定です。

また、「企業規模要件(被保険者数51人以上)」についても2027年10月以降段階的に撤廃され、
将来的には企業規模を問わず社会保険に加入するようになります。

保険料は給与に占める割合が高い傾向があるため、
社会保険へ加入する・しないが働き方の選択に影響を与える要因となっています。
扶養内で働いている方だけでなく、企業も今後の「年収の壁」の動向に
引き続き注意していく必要があります。

お困りごとがございましたら、弊社までお気軽にご相談ください。

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